(書評) 狂骨の夢 京極夏彦
著 京極 夏彦
〈あらすじ〉
夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に怯える元精神科医、降旗。神を信じえぬ牧師、白丘。
夢と現の縺れに悩む三人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。
遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見まもるなか、京極堂は憑物を落とせるのか
(裏表紙より)
今回もあいかわらずのボリュームで文庫版で984ページあるレンガ本
300ページ超えてもまだ物語の冒頭部分ぐらいで、普通の小説ならとっくに読み終わっても良いぐらいなんだけどこれは丁寧に丁寧に話が進んでいきます
まあもう慣れましたけど(笑)
しかし今回のは特に読んでてすごくながーく感じました
ライトノベルに慣れている人とかは絶対に無理でしょうねこれ
簡単にいうと事件に関わる主要人物が「骨」になにかしらトラウマを抱えている話
そういえば自分も子供時代に体験した強烈な出来事とかが、今でも心のどこかに記憶としてずっと残ってたりします
今思うとあれは現実だったのか、はたまた夢だったのか
そんな風に夢か現実か幻想的な世界観の中、現実では到底理解し難い事があちこちで現実として起こり始める
ほんとに読めば読むほど全然解決する方向に進んでいかなくて、どんどん不可解な方向にいき、これまじで妖怪の仕業だろとしか思えなくなります
そしてこのおどろおどろしい怪異小説がいつの間にか理論的なミステリ小説へと変貌し、一気に物語を終結させるこの爽快感は相変わらずの上手さで感心しました
この気持ちよさはこのながーい話しを読んだ人だけが味わえる特権でしょう
今回も専門的な薀蓄も健在で
フロイトの精神論や心理学、特にディープだったのが「宗教」の話
ほんとにそんな宗教や教えがあるの!?と思って調べたら本当にありました(笑)
世の中はまだまだ自分の知らないことだらけだなぁと
ちょっとそういう宗教とかの歴史にも興味が湧いてきたりしました
このシリーズは読んでるとちょっと勉強をしたくなるモードにはいったりするんですよね
この物語は一応単体ではあるんですが、シリーズものなんで
時系列的に前作、前々作からそんなに間が空いていないので前の話しも少しからんできたりします
なのでより楽しむ為にはシリーズを順番から読むのをオススメします
そう考えると関口くんは短期間にこんなディープな事件に巻き込まれまくって本当に可哀想だなぁと
普通の人でも心が病んでしまうよこれじゃあ
前作もレビューしてますので参考にどうぞ
hontonomukiaikata.hatenablog.com
hontonomukiaikata.hatenablog.com
この2作品と比べたら今回京極堂の出番が少なかったのが自分としては残念でした
次の作品も非常に楽しみです
それではまた
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